母と娘の物語 第5章 松浦理英子は〈娘〉の物語を終わらせる|三宅香帆
書評家の三宅香帆さんによる連載「母と娘の物語」。同性であるがゆえに娘に強い同一化を求める母娘関係は、これまで様々なフィクションで描かれてきました。今回は小説家・松浦理英子の作品で描かれる母娘関係について、娘への「同一化欲求」を手がかりに考察します。


書評家の三宅香帆さんによる、国内のさまざまなフィクションで幾度も反復して描かれてきた「母」と「娘」の物語に潜む本質を読み解く連載です。
書評家の三宅香帆さんによる連載「母と娘の物語」。同性であるがゆえに娘に強い同一化を求める母娘関係は、これまで様々なフィクションで描かれてきました。今回は小説家・松浦理英子の作品で描かれる母娘関係について、娘への「同一化欲求」を手がかりに考察します。
書評家の三宅香帆さんによる連載「母と娘の物語」。今回は小説家・氷室冴子が描いてきた母娘関係についての考察です。恋愛結婚が前提化し、女性の社会進出が広まった時代の〈母娘〉像を、氷室の諸作品から読み解きます。
書評家の三宅香帆さんによる連載「母と娘の物語」。今回は吉本ばななの作品を取り上げます。彼女の小説やエッセイに「食事」の場面が頻繁に登場することを指摘したうえで、その背後に存在する「母と娘」の関係性を明らかにします。
書評家の三宅香帆さんによる連載「母と娘の物語」。今回は漫画家・山岸凉子の作品を取り上げます。『天人唐草』や『日出処の天子』などの代表作から、山岸がどのように「母性」と向き合っていたのか考察します。
書評家の三宅香帆さんによる連載「母と娘の物語」。第1章では萩尾望都の諸作品に焦点を当てます。『イグアナの娘』を象徴として「母と娘」の関係を描いてきた彼女が「母の呪い」をどのように捉えていたのか分析します。
書評家・三宅香帆さんの連載「母と娘の物語」。
国内フィクション作品において「母」と「娘」の物語は幾度も反復して描かれてきたにもかかわらず、その物語に潜む本質を読み解こうとする行為は僅かでした。既存の「母娘問題」の議論をひもときつつ、これまで多くの物語で象徴的に論じられてきた「父殺し」との対比を通じて、「なぜ『母殺し』は難しいのか?」という問いを投げかけます。