なぜ異世界は、100周目ではなく2周目なのか|井上明人
いまやアジアの共通言語になっている「異世界転生」、そのストーリーテリングの本質を掘り下げます。
日本でのその隆盛の発信源となった「なろう系」の作品傾向で突出する、異世界で「2周目」の人生をやりたい放題に生きるという物語。たとえば2000年代には同じ人生を何十、何百周もやり直す「ループもの」が流行したのに対し、なぜ圧倒的に「2周目」なのか? ゲーム体験の掘り下げから、その疑問を分析します。
いまやアジアの共通言語になっている「異世界転生」、そのストーリーテリングの本質を掘り下げます。
日本でのその隆盛の発信源となった「なろう系」の作品傾向で突出する、異世界で「2周目」の人生をやりたい放題に生きるという物語。たとえば2000年代には同じ人生を何十、何百周もやり直す「ループもの」が流行したのに対し、なぜ圧倒的に「2周目」なのか? ゲーム体験の掘り下げから、その疑問を分析します。
いまやアジアの共通言語になりつつある「異世界転生」ジャンル。その多くが「復讐劇」の形態をとる点はよく似ていますが、日本ではいじめられっ子が個人的動機から強者を見返すパターンが多い一方、中国・韓国ではそれぞれの社会の特質を反映し、復讐にまつわるモチベーションのあり方が大きく異なるようです。
今回はゲーム研究者の井上明人さんに、韓国・中国での「異世界転生」ものの方向性の違いを考察していただきました。
立て続けの災禍により、未曾有の幕開けとなった2024年。防災や復興といった観点からも、「まちづくり」のあり方が一層問われていく一年となるでしょう。2024年の「まちづくり」においては、いかなる領域や課題が「論点」となってくるのでしょうか?
震災復興から地方創生へ、オリンピックからアフターコロナへ──2010年代以降のこの国のまちづくりや国土運営についての議論を総括し、次の10年、つまり2020年代のまちづくりをどうするかを考えた論集『2020年代のまちづくり』(編:宇野常寛)の刊行を記念し、2024年の「まちづくり」の課題と展望を徹底討論するトークイベントを開催しました。
都市開発、地方のまちづくり、都市体験のデザイン……さまざまな角度から「まちづくり」に携わるプレイヤーが集まり、昨今のまちづくりに関わるトレンドやトピックを振り返りながら、2024年のまちづくりにおける「論点」を出し合ったトークの内容をお届けします。
2013年のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』の放送から10年。東日本大震災後の岩手県久慈市を舞台に、宮藤官九郎のオリジナル脚本による物語で社会現象的なブームを巻き起こした本作は、現在の朝ドラ隆盛を築いた歴史的名作として、現在も多くのファンに愛されています。ちょうど今年4月から本放送当時と同じタイムラインでの再放送もされていたさなかの秋、ロケ地・久慈では、大友良英スペシャルビッグバンド with のんによるコンサートをはじめ、10周年を記念する数々のファンイベントが行われました。
コロナ禍を経て久々に全国の『あまちゃん』ファンたちが結集したこの機会に、かつて文藝春秋×PLANETSのコラボ出版『あまちゃんメモリーズ』の副編集長を務めた中川大地も参加。そこでの旅路から持ち帰った本作のファンムーブメントにまつわるある思いを、10年越しの編集後記として綴ります。
戦争や環境問題、医療などさまざまな社会課題について、ゲームプレイを通じて自分事として考えるための「シリアスゲーム」が近年注目を集めています。今回は「食肉倫理」を題材としたシリアスカードゲーム『マナーな食卓』を倫理学者や開発者のみなさんがプレイし、シリアスゲームの効果や現代の食肉のあり方について議論しました。
「クールジャパン」と呼ばれた時代も久しく、平成年間を経て日本の経済力はじわじわと力を失っていきました。そんななか2020年代の日本文化はどうやって国際競争力を発揮すべきか。アートからアニメ、ファッションや特撮、音楽、あらゆる分野のスペシャリストとともに議論しました。
村上春樹『街とその不確かな壁』の発売のタイミングで、僕が半年前に出版した『砂漠と異人たち』に掲載した村上春樹論を期間限定で全文公開します。『街とその不確かな壁』については、近いうちに批評文を発表する予定ですが、この合計約4万字のテキストは『街とその不確かな壁』の予習としても、おそらく多くの読者が頭を抱えるであろう同作を考える上でも大きな手がかりになるはずです。
そして、もし心に引っかかるものがあれば『砂漠と異人たち』の全文を読んでもらえたら嬉しいです。ここで指摘している村上春樹が乗り上げた巨大な暗礁から脱出する方法を、僕なりに考えて示しています。(宇野常寛)
21世紀以降の高級レストランでみられるようになった「現代料理」は、食材の生態系や採取地の文化を料理によって伝えるものとされています。今回は「現代料理」のフィールドワーク研究をおこなう文化人類学者・藤田周さんが、「食」を批評的にとらえるための足がかりについて論じました。
パンデミックによる決定的な社会システムの変容が引き起こされはじめていた、2020年2月。編集長・宇野常寛によるマニフェスト的な主著『遅いインターネット』(幻冬舎, 2020)が刊行されました。
それから約3年。疫病と戦争の時代を経た人類は、ますます「速く」なったインターネットに翻弄され続けています。なぜ人々は、プラットフォーム上の相互評価のゲームに抗えないのか? 『遅いインターネット』文庫化のこのタイミングで、パンデミックから3年間の情報環境の変化を踏まえた中間報告と、これからの対抗戦略を宇野が書きました。
日々の暮らしを営んでいくために必要不可欠な、電気と水。実はこのままだと数十年後には、こうしたインフラは「あって当たり前」ではなくなってしまうかもしれません。そんな「残念な未来」を招かないようにするための実証実験として、「電気と水の自給自足」暮らしが営まれているのが、「オフグリッド・リビングラボ八ヶ岳」。編集部メンバーで施設まで足を運び、そこの“住人”たちと一緒に、エネルギーの未来を徹底的に考えてきました。(Sponsored by U3イノベーションズ合同会社)