古今東西さまざまな表象文化を研究する批評家・石岡良治さんが美術展を音声&動画でディープに解説する連載「石岡美術館」。今回一緒に巡ったのは、三菱一号館美術館で開催の「コンスタブル展」です。イギリスを代表する画家・コンスタブルの作品が一同に介した本美術展。日本ではマイナーなイギリス美術の見どころを、石岡さんが解説します。
端的に言うとね。
イヤホンの準備はできましたか? それでは、↓のガイド音声or動画本編をお楽しみください!
▲美術館のイヤホンガイド気分でページを眺めながら楽しみたい方は、上のバーから音声版の再生を。石岡さんの解説に集中したい方は、下の動画版をご視聴ください。石岡美術館は、古今東西さまざまな表象文化を研究している批評家・石岡良治さんとPLANETS編集部がさまざまなジャンルの美術展を巡り、展示作品の解説を音声&動画でガイドしていただく企画です。今回取り上げるのは、東京都丸の内の三菱一号館美術館で2021年2月20日から2021年5月30日まで開催の「コンスタブル展」です。
コンスタブルは19世紀イギリスを代表する画家で、故郷の田園風景や思い入れのある地域の風景を描き、数々の大作を残しました。日本ではマイナーですが、イギリスではターナーと並ぶ人気を誇る国民的な画家として知られており、今回の企画展は日本ではおよそ35年ぶりとなる開催となります。今回の展示ではロンドンのテート美術館所蔵作品60点のほか、ターナーをはじめとする同時代の作家作品も多数展示されており、見応えのある展示となっています。
今回の企画展を一言で表すなら、まさに「風景画のインフレ」。めくるめくイギリスの田園や海辺、道の風景にひたすら圧倒されます。美術鑑賞初心者の筆者は「あれ、この風景、さっきもあったような……?」と混乱してきたところで「これは雲がすばらしいですね」「とりあえず遠くに塔を置いて、手前に広がるこの構図ですよね」など、石岡さんの解説を聞くと、それぞれの絵がたちまち固有の魅力を持ち始めるのが印象的でした。
本展の目玉とされているのは終盤に展示されているターナーとの対決となった1832年のロイヤル・アカデミー夏季展での展示が再現されるコーナーです。はたしてこの作品に対する石岡さんの印象は? ぜひ本編での解説をお聞きください!
ガイド内で取り上げた作品一覧
■ボブの絵画教室
言及箇所 29:33〜
■アレクサンダー・カズンズ
A New Method of Assisting the Invention in Drawing Original Compositions of Landscapes
Alexander Cozens
言及箇所 31:00〜
■ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《ヘレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシティ64号》
Joseph Mallord William Turner
Helvoetsluys: The City of Utrecht, 64, Going to Sea
言及箇所 36:37〜、01:50:03〜
■ジョン・コンスタブル《アン・コンスタブル》
John Constable
Ann Constable
言及箇所 37:07〜
■ジョン・コンスタブル《イースト・バーゴルト・ハウス》
John Constable
East Bergholt House
言及箇所 37:27〜
■ジョン・コンスタブル《マライア・ビックネル、ジョン・コンスタブル夫人》
John Constable
Maria Bicknell, Mrs John Constable
言及箇所 38:00〜
■ジョン・コンスタブル《教会の入口、イースト・バーゴルト》
John Constable
The Church Porch, East Bergholt exhibited
言及箇所 38:05〜
■ジョン・コンスタブル《テムズ川あるいはメドウェイ川の船舶のスケッチ》
John Constable
Shipping in the Thames or Medway Verso: Sketch of Shipping
言及箇所 41:35〜
■ジョン・コンスタブル《ブリッジズ一家》
John Constable
The Bridges Family
言及箇所 41:57〜
■トマス・ゲインズバラ《休憩中の農民がいる森の風景》
Thomas Gainsborough
Wooded Landscape with a Peasant Resting
言及箇所 43:08〜
■ベンジャミン・ウェスト《ウィンザーのテラスからの眺望》
Benjamin West
View from the Terrace at Windsor
言及箇所 48:07〜
■ジョージ・ハウランド・ボーモント《風景》
George Howland Beaumont
Landscape
言及箇所 49:49〜
■ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《ペンブローク城》
Joseph Mallord William
Turner Pembroke Castle
言及箇所 50:05〜
■ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《テムズ川とアイズルワースの船着き場》
Joseph Mallord William Turner
The River Thames with Isleworth Ferry
言及箇所 50:32〜
■ジョン・コンスタブル《デダムの谷の眺め》
John Constable
A View of Dedham Vale
言及箇所 51:36〜
■ジョン・コンスタブル《ランガムのガンヒル近くから望むデダム》
John Constable
Dedham from near Gun Hill, Langham
言及箇所 51:36〜
■ジョン・コンスタブル《デダムの谷》
John Constable
Dedham Vale
言及箇所 54:36〜
■ジョン・コンスタブル《モルヴァーン・ホール、ウォリックシャー 》
John Constable
Malvern Hall, Warwickshire
言及箇所 58:14〜
■ジョン・コンスタブル《草地から望むソールズベリー大聖堂》
John Constable
Sketch for Salisbury Cathedral from the Meadows
言及箇所 01:00:22:〜、01:41:53〜
※本展覧会になし
■ジョン・コンスタブル《製粉所わきの流れ 裏面:橋のある夕景》
John Constable The Mill Stream Verso: Night Scene with Bridge
言及箇所 01:01:16〜
■ジョン・コンスタブル《フラットフォードの製粉所 (航行可能な川の情景)》
John Constable Flatford Mill (‘Scene on a Navigable River’)
言及箇所 1:01:40〜
■ジョン・コンスタブル 《「フラットフォードの製粉所」の習作》
John Constable Study for ‘Flatford Mill’
言及箇所 1:01:40〜
■ジョン・コンスタブル《麦畑》
John Constable
A Cornfield
言及箇所 1:07:39〜
■デイヴィッド・ルーカス (ジョン・コンスタブル原画 )《麦畑》
David Lucas and John Constable
The Cornfield
言及箇所 1:07:39〜
■ジョン・リネル《自然の写生習作―トウィッケナムにて》
John Linnell
Study from Nature: At Twickenham
言及箇所 1:14:24〜
■MoMA「Before Photography」(1981年)
Before Photography: Painting and the Invention of Photography
May 6–Jul 5, 1981 MoMA
■ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《南から望むゴダルミン》
Joseph Mallord William Turner
Godalming from the South
言及箇所 1:15:50〜
■ジョン・コンスタブル《ストラトフォードのセント・メアリー教会を望む》
John Constable
View towards Stratford St Mary Church
言及箇所 01:18:20〜
■ジョン・コンスタブル《ヤーマスの桟橋》
John Constable
Yarmouth Jetty
言及箇所 1:21:27〜、1:44:44〜
■ジョン・コンスタブル《ハムステッド・ヒース、「塩入れ」と呼ばれる家のある風景》
John Constable
Hampstead Heath, with the House Called ‘The Salt Box’
言及箇所 01:23:40〜
■アレグザンダー・カズンズ《嵐の前》
Alexander Cozens
Before Storm
言及箇所 01:23:40〜
■ジョン・コンスタブル《丘陵あるいは山々の頂 アレグザンダー・カズンズ「自然の多様な構図」の模写15点の第2図》
John Constable
Album of fifteen drawings after Alexander Cozens, ‘Various Species of Composition, in Nature’ Album open at no 2,‘Tops of Hills or Mountains’
言及箇所 01:23:40〜
■ジョン・コンスタブル《雲の習作》
John Constable
Cloud Study
言及箇所 1:32:44〜
■ジョン・コンスタブル《ブライトン近郊の風車》
John Constable
A Windmill near Brighton
言及箇所 1:43:59〜
■ジョン・コンスタブル《ブライトン近くの海》
John Constable
The Sea near Brighton
言及箇所 1:44:24〜
■ジョン・コンスタブル《チェーン桟橋、ブライトン》
John Constable
Chain Pier, Brighton
言及箇所 1:44:44〜
■ジョン・コンスタブル《草地から望むソールズベリー大聖堂のスケッチ》
John Constable
Sketch for Salisbury Cathedral from the Meadows
言及箇所 01:46:24〜
■ジョン・コンスタブル《ウォータールー橋の開通式(ホワイトホールの階段、1817年6月18日)》
John Constable
The Opening of Waterloo Bridge(‘Whitehall Stairs, June 18th,1817’)
言及箇所 01:48:44〜
■郡山市立美術館
言及箇所 01:54:12〜
■デイヴィッド・ルーカス(ジョン・コンスタブル原画 )《『イングランドの風景』扉絵
―イースト・バーゴルト、サフォーク》
David Lucas and John Constable
Frontispiece: East Bergholt,Suffolk
言及箇所 01:55:41〜
■町田市立国際版画美術館
言及箇所 01:59:48〜
■ジョン・コンスタブル《教会の農場》
John Constable
The Glebe Farm
言及箇所 02:04:57〜
■ジョン・コンスタブル《ウィヴンホー・パーク》
John Constable
Wivenhoe Park
言及箇所 02:10:00〜
※本展覧会になし
■ライオネル・ビックネル・コンスタブル《ストーク=バイ=ネイランド近郊》
Lionel Bicknell Constable
Near Stoke-by-Nayland
言及箇所 02:10:50〜
■「画家のパレット」(コンスタブルが使用したものの実物展示)
Constable’s Palette
言及箇所 02:13:26〜
ガイド内で言及した書籍一覧
■尾関幸、陳岡めぐみ、 三浦篤『西洋美術の歴史7 19世紀 – 近代美術の誕生、ロマン派から印象派へ』(中央公論新社)
■平井 正穂『イギリス名詩選』(岩波文庫)
■岡田 温司『グランドツアー――18世紀イタリアへの旅』(岩波書店)
■「芸術新潮」2021年3月号(第72巻第3号 通巻855号)
■エルンスト・H. ゴンブリッチ『美術の物語』(ファイドン; ポケット版)
■C.R.レズリー『コンスタブルの手紙』(彩流社)
■デイビッド・ホックニー『秘密の知識』
■ユベールダミッシュ『雲の理論―絵画史への試論』(青幻舎)
■同朋舎出版『週刊 グレート・アーティスト 85 カンスタブル』(週刊グレート・アーティスト)
[了]
この記事は、石堂実花が執筆を、岡庭正利が音声・動画編集をつとめ、2021年4月19日に公開しました。
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